『東京のうた』第2弾目は、「静電場朔、チャンZオータ、Toby × SOMSOC GALLERY【原宿】■■中国の人気アーティストとその仲間が、東アジアのアート発信基地からディスパッチする、原宿と東京のうたの会」
原宿は竹下通りを抜けて、とんちゃん通りに入る入り口にある白いビルにあるスペースは、ギャラリー側のアイディアでロゴを写した薄布が張られキュートなステージに変身。
朔ちゃんの出で立ちは、ポップなステージ衣装系で来ると思いきや、肩バッドが入った70年代テイストの黒いパンツスーツ(ヘルムート・ニュートンの被写体女性たちが着ていた感じのやつ!!!)なんと、母親からのお下がりだという。歌う歌謡曲の全盛期のコスプレをしていただいたわけですが、このセンスに脱帽です。
この回は、非常に盛りだくさんで、朔ちゃんの歌に加えて、日本人のモノマネギター芸人のチャン・オータのモノマネ歌謡曲(実は、中国を始めとして、台湾、香港、韓国、タイに遠征している日本人の3ピースサイケデリックバンド、THE天国畑JAPONのドラム担当という才人)、テクノ界でよく知られたTobyのDJ(今回は、歌謡曲とシティポップのセレクターに徹してくれました)。そして、ワタクシと朔ちゃんとの対談!!! あまり知る機会がない中国の文化事情をたっぷり知ることができました。
2000年後に「アドニス」というBL漫画雑誌(同人誌的なもの)が出版されて、心ある女子たちの強力な口コミで瞬く間に広がっていった件などは、日本の少女漫画24年組、竹宮恵子の『風と木の歌』を彼女たちと同様に口コミで広げた70年代の日本の女子たちとおんなじ。
中国では韓国と同様、フェミニズムが熱く、朔ちゃんはワタクシと上野千鶴子さんと対談共著『快楽上等』中国翻訳版の出版社と繋がりがあり、愛読してくれていたというのにもびっくりした。
朔ちゃんは恐ろしく日本のサブカルに詳しいのですが、その影響は彼女がアニメーションを習った大学のひとりの教師から受けているところもポイント。その先生はヨーロッバに留学していて、その時に日本のコンテンツ(古くは寺山修司など、アンダーグラウンドへの独特の評価軸がある)に大いにハマリ、学生たちにそれらを紹介していたのです。
こういった、数々の岡倉天心系、つまり、日本の文化コンテンツの浸透に、教育の現場が大いに関係していることは重要。彼らはネット世代で自分でそれらを発見している、と思いがちですが、最初のきっかけは、ちゃんと人から人へ伝授されているのです。
多分、その先生、年齢から推測するに中国SFの傑作『三体』の著者、劉慈欣(リウ・ツーシン)と同世代。文化大革命の崩壊後にその反動から、貪るように海外の文化を吸収した1960年前後生まれの世代でしょうね。
朔ちゃんは、吉幾三の歌謡曲ラップの名作『俺さ東京に行くだ』をセレクトしてきましたが、マジカワイかった。上京というテーマは、大衆歌アルアルですが、都市と地方の格差がもの凄い中国では、そのリアルさが途轍もないはず。「望郷」という心情とともに。
客席にショッキングピンクのスーツセットアップを着ている、もの凄くカッコいい女の子がいて、声をかけたら、今、京都藝術大学の大学院で学んでいる20代前半の女子で、なんと『東京のうた』のロゴをデザインしてくれた伊藤桂司さんの生徒さんで、通称、スーザン。
彼女はイラストを描いているのですが、そのモチーフはなななんと細野晴臣。もちろん、「東京のうた」に予定されているコシミハルさんのライブのチケットもゲット済。京都から足繁く東京に通っているというのでその行動力と財力にも驚愕です。
スーツはイブ・サンローランのビンテージをメルカリで落としたそう。中国でオーダーした真っ赤な人民服姿の写真を見て、あまりのカッコ良さにひっくり返りました。こういう現場に顔を出し、なおかつ思わず声をかけたくなるルックスの若者、日本では壊滅状態かも。
それにしても、テクノ大使たるToby氏、ネクタイワイシャツ姿でのセレクターDJ姿は、ホント新橋のガード下で焼き鳥食ってる部長じゃないスカwww。テクノ界のレジェンドのこの遊び心がうれしいっす。で、「聴き込んじゃったよー」というさすがの選曲。彼がこのギャラリーとつながっているという開放性もおもしろい。
写真は出演者全員で、スーダラ節に合わせて踊っているとこ。
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