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10月7日(土)宝塚歌劇団とシャンソンとの縁を、昭和モダンのラウンジ感覚を残すシャンソニエで感じる銀座と東京のうたの会

週末の10/7は『東京のうた』第4段目。三ッ矢直生 × 蛙たち【銀座コリドー街】■■宝塚歌劇団とシャンソンとの縁を、昭和モダンのラウンジ感覚を残すシャンソニエで感じる銀座と東京のうたの会でした。


今回の舞台は銀座コリドー街の伝統的シャンソニエ「蛙たち」。店内には伝説の「銀巴里」の店内にあったガス灯の照明器具が鎮座する、オープンしてほぼ半世紀以上、58年という年月を重ねたシャンソンの殿堂です。


今回の企画で面白かったのが、歌謡曲とシャンソンの深い関係。東京とパリ、国民の気質は正反対なのにお互いの文化が大好き。考えてみればどちらも自国の言語に非常にこだわりのあるところは似ている。


今回の歌姫、三ツ矢直生さんは、宝塚歌劇団の男役として活動。『ベルサイユのばら』のジュローデルが当たり役でしたが、退団後、東京藝大に進学しクラシックの唱法も手中にした人。ということは、歌唱の中でも生の舞台でのシアトリカルな表現に長けているはずでして、その予測は初っぱなの『TOKIO』から大当たり。沢田研二の原曲は、彼自身のデカダンや雰囲気やナルシズム、80年代当時のポストモダン、つまり、「フェイク上等」の諧謔感があったのですが、三ツ矢さんバージョンはそこをすっ飛ばして、この曲が持つ、単純爽快なヒーロー性の方に反応。見栄を切り、リズムにグイ乗りで、カラッと明るく悪い奴等は皆殺し系のマーベル・コミックのアベンジャーズみたいなのですよ! これは、この「TOKIO」という曲に隠されていた魅力で、こんなおもしろさがあるから、歌謡曲カバーは面白いのです。


次に歌ったさだまさしの「風に立つライオン」にも驚いた。ケニアで国際医療活動に従事した医師の物語性ある一曲で、東京というテーマは冒頭の望郷にサクラの花の記憶として示されます。こういう長尺の物語ソングは、アメリカの『名前の無い馬』もしくはさだまさしの原曲のように「淡々とうたう」スタイルが大半。なぜならば、物語全体、そしてラストに置かれているクライマックスまで、集中力と息が続かないから。しかし、彼女はその方法を採らずに、ドラマチックに(単に、感情を込めた絶唱、ということではない)歌いきった。こういった「詩の内面化」はシャンソンのお家芸なのでしょうね。


前座で出演した、高野ピエールさんが弾き語りで歌った「大きな玉ねぎの下で」も全く同様で、爆風スランプというバンドサウンドからは見えてくなかった、武道館のコンサートでの青春失恋物語がくっきりと表れてきます。


歌は歌い継がれてこそ、生きながらえる。「東京のうた」ではそんな、古くて新しい音楽体験ができるはず。


シャンソニエ「蛙たち」では、この後、10月14日(土)・21日(土)に、私が実際のライブを見てもはやトニー・ベネット、玉置浩二級の表現力を持つ逸材、川島豊(14日は定評のある女装で歌ってていただきます)、28日はブロッサム・ディアリー的ハイトーンのコケティッシュさが素敵な三戸亜耶が登場。

是非! うたを聴きに来て下さい。

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